繁殖デグーの繁殖は簡単です。ただし、一度にたくさん生まれてくることもありますので、すべての面倒を見る自信(と場所と費用)がなければ、やめておいたほうが良いでしょう。少なくとも「突然産まれてしまった」といって対応に追われる前に、いろいろと準備をしておきたいものです。
デグーは一度に1〜10匹の子供を出産します(平均で3〜6匹)。妊娠期間は約3ヶ月(87〜92日)ですので、子供は長いあいだ母親の胎内で育ちます(ハムスターなどは18〜21日くらいの妊娠期間です)。子供は生まれたときには歯が生えていて、毛も揃った状態です。
性的成熟(交尾/生殖可能)に達するまでに、平均6ヶ月(14〜20週)ほどかかります。しかしながら飼育下においては、もっと早く性成熟を迎え、妊娠することがあります。早い例としては生後一ヶ月(30日)で妊娠したという情報もあるようです。
メスのデグーには規則的に性周期があるようですが、発情周期は一定ではないと考えられています。ですが、一年中どこでも発情する可能性はあります(基本的に発情は排卵の前後に起こります)。ちなみにチンチラ(メス)の発情周期は、平均30日くらいのようです。
メスの発情サインは僅かであるため、人がそれを発見することは非常に難しいと考えられています。兆候としては、膣の薄膜が開いて、外陰にわずかな腫れが見られるかもしれません。また、発情期には体温がわずかに上昇したり(通常の体温は37.9℃)、行動が活発になったりするでしょう。なお発情時間は約3時間しかありません。メスが発情期かどうか私たちには判らなくても、オスはそれを敏感に感知し、求愛行動を始めるでしょう。
オスの求愛行動は、メスの毛繕いをしたり、尻尾を振ったり、鼻と鼻をくっつけ合ったり、ブルブル震えたりすることから始まります。ちょっと風変わりな求愛行動としては「Enurination」と呼ばれる行動があります。オスは、後足をメスの背中よりも高く上げ、メスに対して尿をかけます(オス犬のように片足を上げて尿をひっかけることもあります)。メスも、時々オスに対して同じ動作を返します。Enurinationは、オスの匂いをメスにまとわせることにより、互いの関係をより深めるメカニズムとして役立つ、と考えられているようです。
そのうち、オスはメスの上にまたがろうとするでしょう。メスが彼のことを嫌いであれば、抵抗したり身を引っ込めるかもしれないし、脅かして突進するかもしれません。メスが発情期であり、オスを受け入れる準備ができていれば、オスはメスにまたがって交尾するでしょう。交尾は5〜10秒と、とても早く終わります。これは外敵から身を守るための手段であり、野生下において非常に効率的なメカニズムです。
メスは発情期の間、何度か交尾することができます。交尾のあと、オスは大きく特徴的な声で、1〜3秒間隔で繰り返し鳴きます。この鳴き声は5〜6分続くかもしれません。この声は、同じエリアにいる他のオスへ、ここから立ち退くよう警告するかのように聞こえます。しかし他のオスが、約3時間の発情期間に同じメスと交尾すれば、結果として最初のオスは、自分の子供ではない赤ん坊を育てることになるかもしれません(交尾から着床までは一週間ほど時間があるため)。オスが交尾後に鳴く時間は、後に続く交尾になるにつれて長引いていき、時々は20分近くに及ぶこともあります。
射精時には、膣栓と呼ばれる分泌液(プラグとも言います)を見ることができるかもしれません。これはオスの精液と膣の分泌物が混ざって固まったもので、他のオスがメスと交尾できないようにするためのものです。メスの発情期が終わると、プラグは排出されて膣が閉じます。もしケージ内にプラグが落ちていたら、交尾があったと考えられるでしょう(なお見つからなくても問題はありません)。
着床(精子が子宮に到達すること:妊娠)は、交尾の後6〜7日ほどかかります。デグーの胎盤構造は、他の齧歯動物や哺乳類とは異なります。専門用語では「allanto-chorionic subplacenta:尿嚢絨毛膜予備胎盤{にょうのう-じゅうもうまく-よびたいばん}」と呼び(資料の直訳)、おそらくそれはデグーにのみ存在するものです。胎盤は、胎児が栄養を受け取れるよう母親の子宮に固定されるための器官です。
妊娠期間は約90日(87〜93日の範囲:でも誤差もあり)です。これは他の齧歯動物と比べて、非常に長い期間です(チンチラは平均111日と、もっと長いですが)。通常このような長い妊娠期間においては、子供はよく育った状態で生まれてきます。
母親デグーのお腹は、出産の1〜2週間くらい前から急に膨れてきます。見た目でポッチャリしてきたら、そろそろ子供が誕生する頃です。また、その頃には妙な格好で寝たりするかもしれません。
妊娠期間の長さについては、デグーの特徴的な胎盤構造にあると考えられているようです。妊娠期間の25%は、胎盤組織の増加と、ゆっくりとした胎児の成長である、という研究結果が提出されています。また別の理論では、寿命の長い生き物や、性適成熟に達するまでの時間が長い生き物は、生まれたときや大人の状態において大きな脳を持っているので、妊娠期間の長さは「脳の重さ」と「誕生時における成長度」によって決まるのではないか、と仮定されています。
親デグーは、出産が近くなると巣作りを始めます。デグーが妊娠しているのではないかと思ったら、巣作りに役立つように、快適な巣箱や牧草などを入れてあげてください。赤ん坊のデグーは最初のうち、親に依存して生活するため、良い環境を整えてあげたいものです。
冬場での出産では、ケージの底にヒーターを用意してあげると良いでしょう。出産直後の赤ん坊は、身体が濡れています。母親はすぐに赤ん坊を舐めて乾かしますが、場合によっては次の子供が産まれはじめてしまい、最初の赤ん坊が放ったままにされてしまうこともあります。そうなると、赤ん坊の身体は冷えてしまい、すぐに死んでしまうでしょう。
飼育環境に巣箱があれば、おそらくデグーは巣箱の中で出産します。すべての子供を出産し終わるには数時間かかるかもしれません。出産の間は静かにしておきましょう。驚かせてしまってはストレスになります。出産開始から数時間の間は、巣箱や新しい家族をそっとしておいてやるのが賢明です。
出産後、すぐにメスは発情期に入るでしょう。これは分娩後発情と呼ばれます。齧歯動物において、これは珍しいことではありません。デグーは通常、分娩後発情では妊娠しないと(飼育書には)書かれています。ですが、飼育下におけるデグーは人工的な光(照明)を浴びており、これが分娩後発情に影響を与えることがあるかもしれません。母胎への影響を考慮して、念のために出産開始から、オスを3日ほど離しておいた方が良いでしょう。出産のときは、オスは何もできずにウロウロしているだけのことが多いようです。
ハムスターなどは、子供が生まれたときにストレスやカルシウム不足から、子供を殺して食べてしまうこと(子食い)がありますが、デグーにはそのような習性はないと言われています。出産を終えたデグーが子供を食べているところを目撃するかもしれませんが、それはおそらく、不運にも出産時で既に死亡していた子供です。これは野生下において、外敵が子供の亡骸や血の匂いを辿って、巣穴までやってくるのを防ぐための自然な行動です。
誕生した子供は目が開くまでのあいだ(場合によっては1〜3日ほどかかることもあるようです)完全には調子が整えられず、自分を守ることも満足にできません。生まれてから一週間程度は体温調節すら難しいので、両親に栄養や保護、温度など様々な面で頼ることになります。

上記のグラフは、我が家で生まれた子供たちの体重を、一週間ごとに測定した結果です。これを見ると、生後100日目までにグングン大きくなっていくのが判ります。その後は緩やかに上昇していき、一年もたつと立派な大人になっています。なお我が家の場合は、母親デグーがそれほど大きくない体型だったためか、生まれてきた子供たちもそれほど大きいわけではなさそうです。
母親デグーは子供を一生懸命に育てます。赤ん坊デグーは母乳を飲むために、仰向けになって母親のお腹の下に入ります。成長するにつれて、子供たちは腹ばいのまま母乳を飲んだりすることもあるでしょう。
母乳にはいろいろな成分が含まれています。母親は子育ての期間、通常よりも多くの食べ物を食べ、水も飲むでしょう。もしかすると体重が少し減るかもしれません。この期間は十分な食料を与えるようにしてください。
授乳は平均20〜30分くらいかかります。この間、赤ん坊はちょくちょく位置を変更します。野生下でのデグーは、安全な巣穴の中に住んでいるので、子育てに多くの時間を取ることができ、結果として高い社交性や協調性を持つことができます。あまり安全でない場所に住んでいたり、補食されやすい齧歯動物は、授乳時間が短くなる傾向があります。またそのような動物は、授乳時に位置を変更することもありません。
子供には、母乳の他に特別な餌は必要ありません。生まれたときから歯が生えていますので、ほどなく親と同じペレットを齧りはじめます。一週間も立てば、牧草もしっかり食べるようになります。
父親デグーは、主に見張りをして過ごします。父親は巣を守るために、巣箱から頭を出した状態で長い時間を過ごします。これは少しの物音も聞き逃さないためです。また、父親が子供をいじめることは滅多にありません。
子供が親の保護を受けなくても大丈夫になるときが離乳時期です。赤ん坊は、生まれてまもなくペレットを食べるようになりますが、少なくとも二週間は母乳の助けがないと生きていけません。そのため最低でも6週間(一ヶ月半)くらいは母親から引き離されるべきではありません。
若いデグーを離乳させれば、彼らは大人のように振る舞い始めるでしょう。そうすれば、彼らは大人のデグーを飼うのと同じような設備(食物、水、まわし車、おもちゃ、適切な温度、安全な隠れ家など)が必要になってきます。決まった時間に世話をすることが重要です。デグーにあなたの重要性を覚えてもらうことができます。
彼らは好奇心が強く、いろいろな場所を探検したがっています。もしかしたらケージの外に飛び出してくるかもしれません。また、ある時はあなたに興味を示すこともあるでしょう。そうしたとき、デグーはあなたにとって最高の友達になるでしょう。
【このページの更新履歴】
公開:2003年4月25日
最終更新日:2007年12月13日